研究レポート

リスクファイナンスの発展

リスクファイナンスの発展

はじめに

内外の経済情勢の変化に伴って企業を取り巻く経営環境は劇的に変化しています。海外進出などによる事業地域の拡大によってテロの脅威や民族・宗教紛争・アスベスト・医療過誤・役員賠償責任等に係る訴訟といった新たなリスクを抱えることになっています。

生産拠点の増設やサプライチェーンの拡大といった事業規模の拡大によって自然災害などから受ける損失規模が増大してきているなどのリスクの多様化・複雑化そして巨大化が進んでいます。

ステークホルダーが企業に求める期待も変化してきています。株主はより短期的な収益の確保を期待するようになってきています。取引先は製品・役務の安定供給に関する要望が強まっています。地域コミュニティからは安心・安全な地域社会への貢献への期待も高まっています。企業はその持続・成長・発展のために、こうしたステークホルダーの考えにこれまで以上の目配りをしていく必要性が高まってきています。

リスクマネジメント

このようなリスクが多様化またステークホルダーの要望に応えていく中で重要な経営課題として全社的・統合的なリスクマネジメントに取り組む企業の見られてきています。コーポレートガバナンスやリスクマネジメントといったトレンドとも一致してきます。

リスクマネジメントとしては四半期決算の義務付け・財務報告に係る内部統制の強化・適正開示に関する経営者責任の明確化等、企業の情報開示に関する規制強化が進められています。

企業のリスクマネジメントになるといかにしてリスクの顕在化を防ぐかということに力が置かれています。反面災害の発生後の対策がなされていないというのが現実となっています。企業の事業継続計画については漸くその重要性が認識されています。ただリスクが顕在化し経済的損失が発生した場合に備えて企業が運転資金や事故対策資金・復旧資金などを事前に手当てしておくことすなわちリスクファイナンスの重要性については未だ十分に認識されていないとの声が多く聞かれています。

企業の地震対策では、所有する施設の倒壊防止や、従業員の安全確保のために、耐震補強等によりリスクをゼロにしていくことを目標としたリスクコントロールをしていくことがリスクマネジメントをしていく上で重要であると考えられています。

そうした発想を持つ企業では、仮に地震が発生しても自社が被災する確率がゼロと評価していく上でその後の対策が講じられるケースも少なくありません。ただリスクが顕在化する可能性は実際にはゼロではありません。このためリスクマネジメントにおいてはそうした高い意識による予防施策の取り組みと共にリスク顕在化後の対応策の検討を行うことも極めて重要といえます。

リスクファイナンスへの取り組み

企業への適切なリスクファイナンスの取り組みは予期しないあるいは突発的なリスクの事象が顕在化した場合でも企業財務の健全性を維持出来る場合でも企業の効率的でかつ積極的な事業活動を行うことをできるようにしていきます。

またこのリスクファイナンスはその企業だけでなく、企業につながるサプライチェーンやコミュニティへの動揺を抑えることが可能にしていきます。ステークホルダーに対してのマイナスも最小限に食い止めることを目的にしていきます。

多くの企業が会社単位でリスクファイナンスを適切に取り組むことは企業のより積極的な事業活動の促進を可能にしていきます。企業の持続・成長・発展に資するのみならず、社会・経済全体で考えていくことで個々の会社の取り組みが異なってきます。そうしていくことで日本企業自体の社会基盤そのもののリスク耐性の強化にもつながります。

このようにしてできた強固な基盤こそが安心でかつ安全な社会経済を作り上げることができます。こうした問題意識に先立って経済産業省ではリスクファイナンス研究会を立ち上げました。日本のリスクファイナンスの普及さらに促進に向けて企業におけるリスクファイナンスの必要性を議論しつつも企業のリスクファイナンスの取り組みについての現状と環境整備の方向についての検討を行っています。

そこでの取り組みを以下で紹介していきます。

リスクファイナンスの発展」への2件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です