投資家にとっても多くの魅力のあるCATボンド
はじめに
CATボンドでの運用資産は59億ドル程度と10年前の50倍程度、5年前に比較しても2.5倍程度の伸びがあります。2018年あたりからは鈍化するもまだ伸びを示しています。CATボンドは主に損保の保険リンク証券(ILS)と生保&オルタナティブクレジットに投資がなされています。
日本でもアセットクラスとして定着
日本の投資家のCATボンドなどのLIS投資残高は7000億円から8000億円程度になるだろうといわれています。これはマルチアセット・為替ヘッジ付の外債・ロングショートマーケットニュートラル・ファンズオブヘッジファンズ・国内リートなどともに上位にあります。企業年金・金融法人・個人の富裕層などに人気のある商品となっています。
投資家にとっての魅力
CATボンドなどのILS投資のメリットは伝統的な資産との相関が低いこと、リターンが比較的安定をしていること、リスクとリターンの比率の良さ、担保付再保険よりも長い期間の投資が可能、変動金利、社会的な意義などもあります。
CATボンドは米国株との相関が0.2程度、ハイイールド債の相関が0.3程度とあまり高くありません。反面米国株とハイイールド債の相関は0.75近くあります。ここからCATボンドは米国株やハイイールド債とはあまり連動をしない、近い動きをしない可能性が高いということです。いうなればリスクヘッジ・ポートフォリオ分散効果を期待できそうな商品といえます。
またCATボンドは市場の変動率が3%超程度です。これは米国債の5分の1・ハイイールド債の3分の1程度です。ボラティリティが低いということなので大きな変動をしないということです。イベントなどがあっても安定した時価をキープできる可能性の高い商品といえます。
さらにCATボンドは年間のリターンも7%程度と米国株の9%弱に比較すると少し落ちるも、ハイイールド債よりはやや高めのリターンを期待できます。CATボンドは特別にリターンの高い商品ではないも、ポートフォリオの分散効果が期待でき、なおかつボラティリティが低いということで市場の影響を受けにくい商品といえます。ローリスク・ミドルリターンの商品といえますので、資産を減らしたくないという富裕層の方には比較的有力な投資商品ではないかと考えられます。
参考資料・出典
リジリエンス・ジャパン 感染症等災害リスクファイナンス推進戦略会議・第2回会議の参考資料・CATボンドについて