日本企業のキャプティブ
はじめに
日本企業でキャプティブを最初に設立したのは1973年に三光汽船というところが元受のキャプティブをバミューダに設立したのが初めてになります。これに続いて日本郵船や大阪商船三井などが続いてバミューダにキャプティブを設立しています。
キャプティブの設立企業がまだほとんど上場をしていないのでどのような企業がキャプティブを有しているのかがはっきりとはみえません。またキャプティブの企業と親会社が同一企業というところもほとんどありません。まだキャプティブに関してはよく分からないことが多いです。
ドミサイル
日本企業の中でキャプティブのドミサイルが最も多いのがバミューダです。世界全体で見てもバミューダがまだ1位のようです。ドミサイルとしてのプロバイダーとしてのインフラがそろっていること・またニューヨークから飛行機で2時間程度で行くことができるという立地の良さもあります。日本企業も初めの方はキャプティブをバミューダに設立したことも納得できます。
2番目に多いのがハワイです。ハワイは日系人が多く日本人にとっては身近な場所といえます。マネジメント会社などのキャプティブプロバイダーに日本人が多いことなどが挙げられます。またトランプ政権で法人税が大幅に下げられたことも設立の大きな理由になっています。
3番目に多いのがミクロネシアです。ミクロネシアのドミサイルの歴史は新しく2018年夏現在で10社程度のキャプティブが設立されています。そのすべてが日本企業というのも面白いところです。ミクロネシア政府は日本のタックスヘイブン税制に合わせて税率を21%にしたこと・また日本人が運営をしているマネジメント会社があってフィジビリティ・スタディから設立のマネジメントまでに日本人による日本語でのサービスの提供を行っていると考えられます。
業種別のキャプティブ
日本企業のキャプティブを業種別に分類を行っています。最もキャプティブを設立しているのは商社の11社です。また旅行代理店や賃貸管理会社などのサービス業も同様に11社ほどあります。次にキャプティブを多く設立している業種は自動車業界で10社程度あります。商社については輸出・輸入に伴う貨物海上保険の取扱が多くなっています。これらの保険種目を中心としたキャプティブになります。
設立目的
キャプティブを設立する目的に関しては各業種や企業によって異なります。ほとんどの企業のキャプティブの設立目的は引受の利益になります。特に損害率が安定をしている業種ではキャプティブでの安定的な引き受けの利益が可能となっています。
他方日本国内の元受保険会社は企業地震保険については業種が石油会社などの石油精製工場はリスクが高くなります。また引き受けのキャパシティも低いので地震保険を引き受けないことが多いです。また製薬会社が治験を行った際に治験薬が原因で被験者の説明または身体を害した場合には製薬会社が賠償責任を負います。
その際の賠償責任を補償する保険を治験保険といいます。ただこの治験保険はリスクが高いために日本国内の損害保険会社が引受しない事があります。これらの業種はキャプティブを設立する事によって再保険マーケットにアクセスできます。キャプティブの機能を通して保険を手配する事も可能になります。
船舶保険の場合は船舶の損害を補償していく船舶保険の手配が必要となります。元受保険会社が保険の引受を行っていくもその保険料が高い事が往々にしてあります。ほとんどの大手の大手船舶会社はこれらの船舶保険料の削減を目的にキャプティブを通して保険の手配を行っています。
このようにキャプティブの設立目的は様々です。キャプティブの設立を行っていくことで各企業のリスクマネジメントにつながっていきます。
参考資料
file:///C:/Users/user/Downloads/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%97%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%81%AE%E8%AB%96%E6%96%87.pdf