研究レポート

CATボンドの仕組み

CATボンドの仕組み

CATボンドの参加者

CATボンドの参加者は以下のようになります。

1:保険会社、再保険会社、事業会社、公的機関などのスポンサー
2:債券の組成や販売などを担当する幹事
3:法律事務所などの格付け機関
4:モデリング会社などのリスク分析会社
5:気象庁やロスデータなどの提供会社
6:ILS専門ファンド、マルチ戦略ファンド、債券投信、年金基金などの投資家。リスクの引き受け手にもなります。

CATボンドの仕組み

CATボンドの仕組みは以下のようになります。

1:保険会社などのスポンサーが特別目的再保険会社に再保険料を支払います。
2:また機関投資家は特別目的再保険会社に出資という形で投資資金を預けます。
3:その期間中何も起こらなければ特別目的再保険会社に元本投資の利益額を支払います。
4:ただその間に大災害などが起こってしまうと保険会社などは再保険契約を解約して保険金支払いのための資金を作ります。同時に特別目的再保険会社は満期時の残存の元本を投資家に支払います。
5:特別目的再保険会社はスポンサーや投資家の方からの資金をアメリカ国債などの安全な資産に投資をして資産を作っていきます。

この中の2・3が主にCATボンドにあてはまります。再保険は1・4が主にあてはまります。

具体例

CATボンドの仕組みについての具体例を紹介します。

特別目的再保険会社:海外設立の特別目的再保険会社

スポンサー:保険会社・再保険会社・事業会社・公的機関

発行形態:適格機関投資家向けの米国私募債

発行通貨:主に米ドル、ユーロや円になる場合もあり。

金額:2億円から3億5000万円程度

期間は3年から4年ほど

格付け:BBクラスが中心も近年は取得をしない場合も多い

クーポン:基準金利×1.02から1.12ほど

減額のケース:第三者のリスク分析専門会社によって元本が減額される確率が推定されます。そこからその情報が開示されます。

トリガーの種類

CATボンドの中のトリガーのケースについて紹介します。

実損:スポンサーの実際の再保険支払い額

業界の損失:保険業界全体の実際の保険金の支払額

モデル・ロス:リスク分析会社が計算をするスポンサーの保険金支払額の推計値

パラメトリック:自然災害で観測されたパラメータを基にインデックスの値を計算

トリガーの具体例

トリガーの具体例を紹介します。関東の地震のリスクの具体例を紹介します。東京海上がスポンサーとなってのパラメトリックです。

1:震源の位置は赤枠よりも内側に入ること
2:震源の深さは地表面から60キロメートル以内
3:地震のマグニチュードは赤枠内でマグニチュード7.1で減額を開始します。またマグニチュード7.6以上で100%の損失をします。外枠内の場合はマグニチュード7.4で減額が開始されます。またマグニチュード7.6以上で100%の損失をします。

出典
リジリエンス・ジャパン 感染症等災害リスクファイナンス推進戦略会議・第2回会議の参考資料・CATボンドについて
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